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KojimaDaigo BLOG

日常絵話 NichijoKaiwa

遊びと芸術の時代(最終回)

   遊びと芸術の時代が既に始まっている。「芸術」とは先日この稿で私の説明した美術、文芸、音楽、演芸演劇、ゲームスポーツ、及びそれらの応用分野で多岐にわたる。

   「遊びと芸術」といっても呑気な話をしているのではなく、例えばこれがない街や村は事態がより一層深刻になっていくだろう。活力が失われ人が減り金が無くなり、村も山もそっくり海外の資産家にでも安く買い叩かれて、そいつの出資した企業によって都会であぶれた若者が安く雇われる。合理的だがそれは何だか新たな奴隷システムのようでもある。

   人も同じような話があって、その作品で一体「何が楽しいのかよう分からん」と理解が無くなってしまうのは作家の問題であると同時に、受け手の問題でもあるだろう。「馬の耳に念仏」「猫に小判」「豚に真珠」ということわざもある。人が馬猫豚になればその人生はまた深刻にならざるを得ない。というより、分からなくなった時に人が馬猫豚に変わるのだ。

   「遊びと芸術」がすでに豊富に受け継がれているのは多くのヨーロッパ諸国で、いつでも博物館などに行って勉強さえすれば、あるいは街を歩いてみるだけでも、いかにこの街が愛すべき土地であり、大切に扱わなくてはならないものかが見えてくる。それは「付加価値」ともいう。

   アメリカ、カナダ、オーストラリアなどは日本よりもうんと歴史の浅い国だが、常日頃からこれに時間と手間をかけている。博物学などの学問が根付いているということだろう。古い物に一目を置くという発想や価値観はきっとそこから来ている。

   私は歴史小説家の司馬遼太郎のファンで、先日もNHKで興味深いテレビ番組を観た。その中で登場した秋田藩藩士で下級武士の「栗田定之丞(くりたさだのじょう)」は良心の塊のような熱い人で、インパクトが強かった。俄然、その地域への興味が湧くというものだ。司馬さんは小説家として現実のそうした付加価値の発掘作業を行なった芸術家だと思う。他の小説家と大きく違う点だ。

   美術作家も、いうまでもなく「遊びと芸術」の提供者の一人で、この時代の重責を担っているんじゃないだろうか。


   美術作家はおおむね4つのタイプに分かれる。

① 教員タイプ

② クリエイタータイプ

③ 変人タイプ

④ 仙人タイプ

今最も勢いのあるのは②のクリエイタータイプだろう。このタイプは「自由と華やかさ」が売りで、流行を捉えるのがうまい。しかしその分刹那的で節操がなく単なる寂しがりやのお祭り好きとも言える。なぜ「クリエイター」と呼ぶかというと、今やクリエイターという職種や名称はありとあらゆる世界に広がっており、美術家がその彼らの象徴だと見るからだ。

   ①教員タイプのセールスポイントは何といっても「豊富な知識」。とにかく詳しい。「いろはにほへと」を最後まで言えないと芸術家の資格無し、と真面目に言い切り、諭すところがある。良くも悪くも。何だって基本が何より大切だというわけだ。

   ③変人タイプは他人からすればかなり掴みどころがなくて付き合いづらいが、その実天性ともいえる鋭敏な洞察力とバランス感覚で「奇異な表現」を目立たせ、時に神々しさを放つ。これをカリスマ性と受け取る人も多いと思う。

   ④仙人タイプは究極の引きこもりなわけで、自然界を注視しているうちに本人自身が自然と同化してしまったのだ。流行など全く気にしないので一見ひねくれ屋に見え世間に疎い。しかし自然同化派なのである種の「本物志向」である事は間違いない。東京都庁にあるモニュメントの一つを作った彫刻家に、愛媛県の人里離れた山中のアトリエで偶然会ったことがある。「僕は麓の人からは仙人って呼ばれているんだよ」とご自身でおっしゃっていた。話を聴くと朗らかだが、離れた所から見ている人には、山の中で一人きり黙々と働く姿は仙人に見えたのかも知れない。

   他にもいろんなタイプがいて、何年かごとにいろんなタイプを経ていく作家もいるだろう。

   日本人はこれから全員でクリエイティビティ(創造性)を発揮していかなくてはならないのだろうと思う。もうそうでもしないと仕方ない。海外からカネを稼ぐためにも、友達を作るためにも、「遊びと芸術」に手を染めなくてはならない。何を呑気なこと言っている、と真面目ぶった事を言っているうちに、経験も知識も感性もある「遊びと芸術の上達者」が実権を握る時代がもう既に来ているのだ。


   さて、このブログでは、元々旅行風景画を描く人なのに、旅の話をほとんど書いてこなかった。旅の出来事は作品集に沢山書いているのであえて避けました。

   最後にとても気に入っている海外の動画を紹介します。以前にもこのブログで案内しましたが再度。ジョージ・ベローズの作品展「The Art Of Boxing」を紹介する短い映像です。

https://m.youtube.com/watch?v=E3OmAaasGnA


   お読み下さってありがとうございました。(おわり)



◉ 小島大吾  期間限定ブログ

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