KojimaDaigo BLOG

日常絵話 NichijoKaiwa

失われ易いもの

   相撲と同様に絵画も、力と技と熱意、そしてスタイルみたいなもので作品に魅了され、やり遂げた作者のことは、熱戦を繰り広げた力士と同じようにファンになる。

   今はインターネットで色々調べられる世の中なのだが美術作家というのはモノグサなのか恥ずかしいのか、気に入った画家の名前すらいくら検索しても出てこない例は多く、情報がなかなか拾えないもどかしさがある。

   欧米に比べて日本人の美術観がより一層厳しいのか、自分で作品を発表するのを躊躇している作家が多くいる気がしてしょうがない。それとも序の口力士のファンになることを恥だと思っているのだろうか。

   いわゆる「風呂敷画商」の暗躍で、作品が未公開のまま作家が死に、おそらくその後の活躍も失われる例も少なくないだろう。作品は個人所蔵になる場合も当然多いから。いわゆる「埋もれる」というやつだ。この失われ易いものに例えば出版物や作品展、オークションなどという方法は大変合理的だ。

   そういう私も自覚がなくて、プロになる以前は、描いて売れた絵の記録(写真など)を全く残していなかった。題名も含めて自分でも憶えていない作品がいくつもあるのが惜しまれる。「小島大吾」もしくは「Dk」などと署名のある絵をお持ちの方は、どうかその絵を写真に撮って個人的にロードアート事務局に内緒でメール送信して頂きたい。


   先週は「五つの芸術」という話を書きました。世間では、芸術というのはつまり絵画とか彫刻を指していて、気高くて上品で、貴族的なイメージがあって、…などというとてもステレオタイプな認識がどうも一般的らしいので、私はそれは違う、それもあるけどそんなもんはホンの一部であって本当はそれだけではない、もっと広大で巨大なものだということをここで再度言っておきたい。応用芸術、応用美術を含めれば地下水脈のようにあらゆるところに存在している。つまり生活とは根っこで結びついているようなもの。

   影響力の大きい人が「そんなものはアートではない!」と言えば言うほどアート、つまり芸術の世界全体は狭くてつまらないものになっていく。なぜかは分からないけど、今の日本の美術がそんなことを言っているうちにどんどんつまらないところにやってきてしまったことだけは分かる。ただし同じ美術でもマンガ界は世界に先駆けてずば抜けて多様化していて面白いものが作られたようだ。

   何なのかよく分からないものもある。「『何だこれは!』というのがアートなんだ」と岡本太郎さんはおっしゃっていたが、かの大家の意見に反論するようだけど、その言い方もやっぱり違う。ただその岡本太郎作品の根底には「何だこれは!」という以前に、共通してユーモアと優しさがあったように思う。

   じゃあ「芸術、アートって何だ?」と聞かれれば、大変冷たく機械的に申し上げてしまうけれど、美術、文芸、音楽、演芸演劇、ゲームスポーツ、の大別して五種類の作品である、と答えることになる。無用の事ばかりだ。遊びだ。建築や家具、服飾のデザイン(視覚物)は、これらを応用した「美術みたいなもの(応用美術)」だ。という事は、例えば絵を見て「もはや芸術的レベル!」という褒め言葉は意味の分からないコトバになる。もともと芸術なのだから「レベル」も何もない。ただ「美しい!」とか「カッコイイ!」と言えばいい。

   自分や多くの人が面白いと感じるものだけが芸術だ!と思うのは危険で、この五つの芸術の各作品は全て芸術だ。その内の一つを「良い、面白い」と思っているだけで、言い方に問題があるのだ。だからあんまり安易に「芸術」と言うのは抵抗があり戸惑いもある。聞いている方が恥ずかしい。アーティスト本人が、自分のことをアーティストもしくは芸術家とあんまり呼ばないのと同じなんじゃないだろうか。

   誰も評価しなかった作品が後日、ガーンッという衝撃のもとに物凄い名作だと多くの個人に認知される例は枚挙に暇が無く、この五つの芸術世界のそれぞれの歴史が承知している。それらは作者の意図しない魔法としか言いようがない。それを浅はかにも早々に排除してしまう態度も問題だ。それこそ自分の生活から芸術を、豊かさや良心の様なものを失って、薄っぺらで、成熟さや個人の魅力をわざと遠ざけていくような気がする。(つづく)



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