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KojimaDaigo BLOG

日常絵話 NichijoKaiwa

旅行で絵を描く

 ニューヨークで風景画を好きになり、今度はオーストラリアで50日間旅行して自分で絵を描いてみた。これが結果的には今の私の小冊子作品集(ロードアート・ブックレットシリーズ)第一集「画豪(がごう)」なのです。そこにはその旅行での色んな出来事なども文章で書かれています。

 旅行で絵を描くのは思った以上に楽しくて、しんどいことも沢山あるが、充実感や楽しさが軽くそれらを上回った。描き上げた風景画はウィンスロー・ホーマーに比べれば無論足元にも及ばないけど、ひどく自分で愛着の湧くこととなり、旅行で気に入った風景を探して現地で描き上げるというやり方が常となっていった。

 いわゆるスケッチ旅行だが、少し違うのは一般にスケッチはあくまでスケッチ(写生、素描、試し描き)であり本制作ではない。私がやっているのは現地で描くのを強引に本制作としてしまう。独学なので画材や技法の知識不足からたまたまこういう考え方になったのだが、通常、絵画制作というのは、テーマを見つけて調査・取材を重ねてそのたびにスケッチや試作を描き、場合によってはそれも何枚も描き繰り返し構想を練り本制作に望む、というのが作業工程だ。
 私はいろんな作家の本制作ももちろん好きだが、試作段階の絵に価値を持ってしまった。
 とくに取材先の現地で作家が腕を振るったスケッチは臨場感があって、たとえ画面がよごれていてもリアルなものとしていつも注目している。絵というのは単に平面的な視覚物ではなくて、私にとっては立体物に感じられる。それも時空を超えた存在感のあるもの。そこには現地での絵に対する扱いがより濃く現れていて、その描かれた紙や絵の具のニオイさえ保存したいほどで、ときには本制作よりもスケッチの方が価値があるくらい。 スケッチなどというよりは、唯一無二の「現地制作物」という言い方のほうが相応しいくらい。そして旅行だからドキュメンタリータッチで様々な角度からストーリー性を持たせる事も、何枚かで連作のような事も出来るし、
それが私の独自の付加価値にしやすいのだろうと思う。

 そうしてその後もそのような旅行を国内でも何度もくり返した。やがてオーストラリアでの風景画、日本国内各地での風景画をとりまぜて選び出品したものが、以前このブログにも書いた「初めての個展」となったというわけです。さらにそこには美術・絵画の愛好家の方々がいて、たまたま私の描くものや描き方に興味を持つ方々がいた。
 さらにその後も旅行風景画制作は国内・海外で続き、作品の発表も近隣都市を地元名古屋も含めて七会場を巡回して作品を見て頂く巡回作品展「ロードアート・キャラバン」なるものも実践してみた。自分が旅行をした後、作品にも旅をさせたわけだ。予約販売という形の「行商」でもある。
 するとそこでも現地の色んな人々との遭遇があった。そこにはちゃんと絵画を楽しんで下さるお客さんがいて、お客さんから絵を褒められて嬉しいというよりも、絵画でお客さんが喜んで下さることで私も嬉しくなった。もしかすると私以上に私の絵に関心を持っているのではないかと思うようなお客さんもいた。
 画廊の企画展に出品しませんか?というお誘いを受ける事もあったし、各地の新聞社の取材も受けてきたし、現地のラジオ番組にゲストで呼んで頂いたこともあった。会場では画商さんや同じ画家との出会いも度々あるし、アートコレクターの存在も知った。プロ活動する詩人の男性とその奥さんからお声をかけて頂き沁み入るような笑顔で「あなたの絵には詩情があります」と誉めて頂いたのもインパクトがあった。観る方々の中に、私が勝手に描いているものに対して意味を見い出す人がいるということがだんだん明らかになっていくのが分かった。
 世の中は広いんだな、気に入ってくれる人が本当にいるのだな、ということを自分で知ると「まだほかにも喜ぶ人がいるかも知れない」と思い、そして「その人を探さなくてはいけない」さらには「もっとたくさん描いて広めなくてはいけない」と考えるようになっていった。
(つづく)


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